BS上の「固定資産」「リース会計」の表示はどの様に決まっているのか?

基本編

固定資産は貸借対象上でも大きな金額になることが多いです。この部分の理解を深めておくことはとても重要です。

企業価値の根底にある固定資産に価値があるのか?ないのか?

ここは見分けておきたいです。

また、リース会計も重要です。一見、資産のように見えて本当はどうなのか?

理解を深めていきましょう。

固定資産

固定資産は、「有形固定資産」「無形固定資産」及び「投資その他の資産」に区分しなければなりません。

有形固定資産

①意義

有形固定資産とは、原則として、1年以上使用することを目的として所有する一定価額以上の資産のうち、具体的な形態をもった固定資産をいいます。具体的には、建物・構築物・船舶・土地・建設仮勘定等が該当します。

②取得原価の決定

  • 購入による場合
取得原価=購入代価+付随費用
  • 自家建設による場合
取得原価=適正な原価計算基準にしたがって算定された製造原価

※自家建設に要する借入金の利子は、原則として取得原価に算入しないが、次の3つ要件をすべて充せば、取得原価への算入が認められます。

①有形固定資産を自家建設した場合であること
②借入資金が該当建設工事にだけ利用されたことが明らかであること
③稼働前の期間に対応するものであること

・現物出資による場合

取得原価=出資者に交付した株式の発行金額の総額

※企業会計基準第8号では、取得した財貨またはサービスの取得価額について、対価として用いられた自社の株式の契約日における公正な評価額もしくは取得した財貨またはサービスの公正な評価額うち、いずれかより高い信頼性をもって測定可能な評価額で算定することとしています。

・交換による場合

自己所有の固定資産と交換→交換に共された自己資産の適正な簿価
自己所有の株式ないし社債等と交換→当該有価証券の時価または適正な簿価

・贈与による場合

取得原価=時価等を基準とした公正な評価額

無形固定資産

無形固定資産とは、長期にわたり経営に利用され、利益を獲得する上で他企業との競争に当たって有用なもので、具体的な形態をもたない資産をいいます。のれん、地上権、特許権、商標権等がこれに含まれます。

投資その他の資産

投資その他の資産とは、①子会社株式及び関連会社株式やその他有価証券等の有価証券、一年以内に期限の到来しない預金・貸付金・投資目的で所有する不動産などの投資資産と、②破産更生債権、長期前払費用などの有形・無形固定資産及び投資資産以外の長期資産とに区分されます。

リース会計

リース取引

リース取引とは、特定の物件の所有者である貸手(レッサー)が、その物件の借手(レッシー)に対し、合意された期間(以下、リース期間という)にわたり当該物件を使用する権利を与え、借手は、合意された使用料(以下、リース料という)を貸手に支払う取引をいいます。リース取引には、ファイナンス・リース取引オペレーティング・リース取引があります。なお、本記事では、借手は当社、貸手はリース会社を前提とします。

ファイナンス・リース取引

ファイナンス・リース取引の要件

ファイナンス・リース取引とは、a .リース契約に基づくリース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引またはこれに準ずるリース取引で、b .借手が当該契約に基づき使用する物件(以下、リース物件という)からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、c .当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することになるリース取引をいいます。

上記のa.をノンキャンセラブルといい、b .とc .をフルペイアウトといいます。リース取引がファイナンス・リース取引に該当するかどうかは、上記の要件を十分に考慮して判定します。

ファイナンス・リース取引の判定基準

次のaまたはbのいずれかに該当する場合、ファイナンス・リース取引と判定されます。

a .現在価値基準

解約不能のリース期間中のリース料総額の現在価値が、当該リース物件を借手が現金で購入するものと仮定した場合の合理的見積金額(これを見積現金購入価額という)の概ね90%以上であること。

リース料総額の現在価値/見積現金購入価額≧概ね90%

b .経済的耐用年数基準

解約不能のリース期間が、当該リース物件の経済的耐用年数基準の概ね75%以上であること。

リース期間/経済的耐用年数≧概ね75%

上記のaまたはbのいずれかに該当した場合、ファイナンス・リース取引と判定され、ファイナンス・リース取引以外のリース取引はオペレーティング・リース取引とされます。

また、ファイナンス・リース取引と判定されたもののうち、次の1〜3のいずれかに該当する場合、所有権が借り手に移転すると認められるものとして、所有権移転ファイナンス・リース取引に該当するものとし、いずれにも該当しない場合、所有権移転ファイナンス・リース取引に該当するものとします。

  1. 所有権移転条項付リース取引
  2. 割安購入選択権付リース取引
  3. 特別仕様物件のリース取引
ファイナンス・リース取引の会計処理

a.リース資産及びリース債務の計上

リース取引開始日に、通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理により、リース物件とこれに係る債務をリース資産及びリース債務として計上します。

貸手の購入価額等が明らかな場合貸手の購入価額等が明らかでない場合
所有権移転貸手の購入価額等
所有権移転外a.リース料総額の割引現在価値
b.貸手の購入価額等
aとbのいずれか低い価額
a.リース料総額の割引現在価値
b.見積現金購入価額
aとbのいずれか低い価額

※リース料総額の割引計算には貸手の計算利子率を使用し貸手の計算利子率が不明な場合、借手の追加利子率を使用します。

b .支払リース料

リース料総額は、原則として、利息相当額部分とリース債務の元本返済額部分とに区分し、前者は支払利息として処理し、後者はリース債務の元本返済として処理します。

支払リース料総額=リース債務+利息相当額

c .利息相当額の各期への配分

利息相当額の総額をリース期間中の各期に配分する方法は、原則として、利息法によります。当該利率は、リース料総額の現在価値が、リース取引開始日におけるリース資産(リース債務)の計上価額と等しくなる利率として求められます。なお、割安購入選択権がある場合には、リース料総額にその行使価額を含めます。

d .維持管理費相当額の処理

維持管理費相当額は、原則として、リース料総額から控除するが、その金額がリース料に占める割合に重要性が乏しい場合は、これをリース料総額から控除しないことができます。

e .リース資産の償却

所有権残存価額償却期間償却方法
所有権移転自己所有と同一経済的耐用年数自己所有と同一
所有権移転外ゼロリース期間企業の実態に対応
ファイナンス・リース取引の注記

リース資産について、その内容(主な資産の種類等)及び減価償却の方法を注記します。ただし、重要性が乏しい場合には、当該注記を要しません。

オペレーティング・リース取引

オペレーティング・リース取引とは、ファイナンス・リース取引以外のリース取引をいいます。オペレーティング・リース取引は通常の賃貸借取引と同様に会計処理を行います。

なお、オペレーティング・リース取引のうち解約不能のものに係る未経過リース料は、貸借対照表日後1年以内のリース期間に係るものと、貸借対照表日後1年を超えるリース期間に係るものとに区分して注記します。ただし、重要性が乏しい場合には、当該注記を要しません。

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