「ウォーレン・バフェットはどんな投資をしていたの?」
「どうすれば投資は上手くいくの?」
- 企業に関する原則
- その事業は簡明でわかりやすいか?
- 安定した業績を続けているか?
- 長期的な明るい展望があるか?
- 経営に関する原則
- 合理性を尊重する経営者であるか?
- 株主に対して公平で誠実か?
- 横並びの圧力に屈しないか?
- 財務に関する原則
- 一株当たりの利益(EPS)ではなく、株主資本利益率(ROE)を重視する
- オーナー収益を計算する
- 売上利益率の高い企業を探す
- 留保資産の1ドルについて、少なくとも1ドル分の割合で株価に反映していることを確認する
- マーケットに関する原則
- 企業の価値を決定する
- 企業価値に対して大幅に割安な企業を買う
企業に関する原則
その事業は簡明でわかりやすいか?
よくわからないものに投資をしてはいけない。
株価が上がりそうだ。
この会社は話題になっている。
そういったことで大事な資金を投資して、損をすることは避けたい。
「得意とする分野に投資しなさい」
自分が詳しい分野、興味のある事柄、仕事関係など、その企業の事業内容について理解できることが重要です。
また複雑な事業や、複数の事業を行っている企業についても「すべてが理解できているか?」を自問するのが良いでしょう。
不安があるときは、他の企業を探しましょう。あなたが理解できる企業は必ずあります。
安定した業績を続けているか?
「激しい変化と例外的に高いリターンは両立しないことが多い」とバフェットは述べています。
一時的な株価の変動ということだけでなく、事業としての激しい変化に注意を払いましょう。
そして、避ける方が良いのは
- 大きな経営上の問題処理の最中の企業
- 事業計画が失敗したために抜本的に経営の方向性を変えようとしている企業
「最良のリターンは同じ製品・サービスを長年にわたって提供している企業によってもたらされる」
バフェットが好むのはコカ・コーラ社のような企業のようです。
長期的な明るい展望があるか?
バフェット曰く、企業の経済活動は大きく分けると、いかに分けられるという。
- フランチャイズ企業の小グループ
- 大きなコモディティ企業のグループ
フランチャイズ企業の小グループ
買うに値する
→「フランチャイズ」の定義
- その製品・サービスが
- 必要とされ、あるいは求められており
- 容易に代替することが出来ず
- 政府の規制を受けていない企業
APPLEのiPhoneなどはこういった定義に入るのでしょう。
一般的なフランチャイズの定義とは違うように感じますが、企業を分析する方法として、大きな分類を自分の中で作ることは重要かもしれません。
大きなコモディティ企業のグループ
買うには値しない
→「競争先の製品との差別化がまずできない」企業
- 石油
- ガス
- 麦
- 化粧品
- 銅
- 木材
- オレンジジュース
- コンピュータ
- 自動車
- 航空サービス
- 銀行
- 保険
内容の違いこそあれ、バフェットが言いたいことは理解できる気がします。
長期間、事業を成長させるためには競争力が必要です。差別化が難しい業界は避けるのが無難でしょう。
経営に関する原則
合理性を尊重する経営者であるか?
経営者の重要な仕事は「余剰資金をどう分配するか」にあるとバフェットは述べています。
そして、余剰資金を使い「資本コストを上回るリターンを生み出す」ことで経営者の評価をつけているのです。
ちなみに「平均以下のリターンしか生まない余剰資金の使途」とは
- 投資効率を無視して、事業に再投資し続ける
- 成長を買う
- 他社を買収するM&Aは、高すぎる買い物になることが多く、経営統合についても失敗が生じやすいとバフェットは警鐘を鳴らしています。
- 株主に返す
- 配当を増やす → 自社よりも他社に再投資した方が効率が良い場合には、株主のためになります。
- 自己株買いを行う → 株価が実体価値よりも安い場合は、より価値を高めるため意味があります。
株主に対して公平で誠実か?
失敗について語ることができる経営者であることは、非常に重要な要素です。
また、株主に対して開示してほしい情報としては
- 企業の価値をは概ねいくらだろうか?
- 将来の負債返済は可能か?
- 与えられた条件でうまく経営が出来ているか?
こういった質問の答えが出せるような情報を開示することをバフェットは求めています。
横並びの圧力に屈しないか?
「組織の習性」とは
- 従来の路線を、どんな形にせよ、変えることに抵抗する
- 資金が余ると、それを使うための事業計画や買収が具体化してくる
- トップが惚れ込んでいる事業は、それがいかに馬鹿げていても、部下たちは詳細な利益率計算や戦略分析によってサポートする
- 同業他社の行動は、事業拡大、企業買収、役員報酬決定までどんなテーマでも無批判に模倣される
「組織の習性」は、時には株主の利益減少につながることがあります。経営者がこういった横並びの圧力に屈しない存在であるかを見定める必要があるとバフェットは説いています。
財務に関する原則
一株当たりの利益(EPS)ではなく、株主資本利益率(ROE)を重視する
バフェットにとって「EPSは煙幕でごまかしているようなもの」だといいます。
なぜならば、「EPSが10%上昇したとしても、同時に株主資本も10%増加すれば、実質は何も変わらない」という理由を挙げています。
ROEを見る際にバフェットはいくつか調整が必要であると述べています。
- すべての有価証券は原価法で評価すべき
- 時価ベースだと株式市場全体の価値が個別企業のROEに大きな影響を与えてしまう
- 営業外損益、特別損益は除外して考える
- 営業利益だけで見る(本業で稼いでいる内容を重視します
- 営業利益だけで見る(本業で稼いでいる内容を重視します
オーナー収益を計算する
- EPSは事業を評価する出発点にすぎず、ゴールではない
- 利益に比較して資産規模の大きな企業の利益は、蜃気楼みたいに粉飾されがちである
- キャッシュフローですら、価値の測定に万能ではないし、誤解を招くことも多い
- 初期投資は大きいが、追加の設備投資をあまり必要としない事業(不動産、ガス田開発、電話会社など)には意味をもつ
- 事業の存続に常時投資が必要な製造業などは、キャッシュフローだけ見ても正しい価値は把握できない
オーナー収益
オーナー収益は、純利益(営業外損益、特別損益を調整したもの)に減価償却費を加え、今後予想される設備投資費と必要な運転資金を差し引いたものである。
数学的に正確に測れるわけではないとバフェットも認めています。
特に難しいのは、将来の設備投資額を予想するには多くの前提と推定が必要となるからです。
それでもなお、厳密に計算して間違うよりは、大まかにでも正しい方がマシであると述べています。
売上利益率の高い企業を探す
バフェットはどの事業に対しても適正な従業員数を理解しており、1ドルの売上に対する費用の適正レベルが存在すると信じています。
営業利益率が高いことは、競争優位性においても大きなアドバンテージになります。
留保資産の1ドルについて、少なくとも1ドル分の割合で株価に反映していることを確認する
市場における価値(時価総額か?)の上昇は、少なくとも留保した利益額と同じであるべきだという指標を持っているようです。
マーケットに関する原則
企業の価値を決定する
バフェットによれば、最も良い方法は
企業の価値は、事業のライフサイクルにおいて予想されるキャッシュフロー(バフェットのいうオーナー収益)の総額を適切な利率(割引率)で割り引いた現在価値に還元して得られる。
予想されるキャッシュフロー
企業が安定的に利益を出していて、その事業が簡明でわかりやすければ、高い確率で将来の利益を算出できる。
割引率
バフェットの考えでは、
割引率 = リスクゼロと考えられる利率
その時点での長期国債の利率を使ってきたとのこと。
また、利率が低い時には、割引率を高めに修正する。割引率が7%を下回る時は、割引率を10%に設定する。利率が高くたっていくと、割引率を実際の利率に合わせていく、そうならない場合は、3%上乗せして安全余裕度を確保する。
こういった調整を行っています。
バフェットは「リスクプレミアムを加えない」といいます。
その代わりに、「大幅に割安な企業を買う」のです。
企業価値に対して大幅に割安な企業を買う
株価(時価総額)と企業価値との間に安全余裕度があるときにだけ株式を買うことが重要です。
安全余裕度にと以下のメリットがあります。
- 価格の下落に対する備え
- 高い利益を得る機会を与えてくれる
所感
バフェットが考えている投資哲学は、一見当たり前な部分が多いですが、それを投資対象の一社一社に適応して考えていくとなると、膨大な時間が掛かることが想像できます。
また、定量的な部分だけでなく、定性的な部分を多分に含んでおり、説明が難しい部分もあるのだと感じています。
自分が理解できるビジネスとは何か?これが一番のネックではないでしょうか。
会計用語や収益の計算ができますが、「優良なビジネス」「適切な経費」「長期的な競争優位性」など実際に経営を行ってきたバフェットだからこそ、できる部分があるのかもしれません。
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